資金繰りはなぜ悪化するのか
資金繰り悪化の原因は様々です。儲かっていても資金繰りに苦しむ会社はたくさん存在します。
資金繰り悪化の原因のうち主なものを挙げると、①利益の減少、②売上債権の回収遅れ、③在庫の増加、④過大な設備投資、
⑤無計画な借り入れ等があります。
運転資金の借り入れ
1.借り入れは一時しのぎに過ぎない
運転資金が不足しそうになると、金融機関から借り入れを第一に考えがちですが、
これは一時しのぎに過ぎず抜本的な資金繰りの改善にはなりません。
また、運転資金を借り入れることにより、いくつかのリスクを背負うことになります。
①運転資金の借り入れは新たなキャッシュを生み出さないため、借入金を返済するときにまた資金繰りが悪化する。
②借入金が多額になると、支払利息が会社の収益を圧迫する。
③借入依存体質の場合、新規借入が不可能となった場合に倒産に追い込まれるおそれがある。
2.財務体質を改善する
運転資金の借り入れは場合によっては必要です。しかし、第一に考えることではありません。
第一に考えるべきことは、借り入れに頼らない財務体質に計画的に改善することです。
3.設備資金の借り入れとの違い
設備投資の借り入れは、その設備により新たに生み出されるキャッシュによって返済されるので、運転資金の借り入れとは分けて考えます。
資金繰り改善の方法
資金繰り改善には、資金繰り悪化の原因を把握してそれぞれの原因に対して対策を講じることが必要です。
そして、『資金が不足しない体質』に改善することです。
ポイントは次の2点です。
①資金繰り悪化の原因を正確に把握する。
②その原因に対して的確な対策を講じ実行する。
資金繰り悪化の原因を正確に把握する
1.キャッシュフロー計算書の作成
資金繰り悪化の原因を正確に把握するために、キャッシュフロー計算書を作成します。
キャッシュフロー計算書は、会社の活動によっての一定期間に、どれだけ資金が流入し、
どれだけ資金が流出したかを表し、会社の「キャッシュフローの状況」を明らかにします。
キャッシュフロー計算書には、以下の3つの区分が設けられています。
①営業活動によるキャッシュフロー
②投資活動によるキャッシュフロー
③財務活動によるキャッシュフロー
2.多くみられる事例
【資金繰りの現状】
(1)X期は、利益は出ているが売上債権、棚卸資産ともに増加し営業CFは▲700、
設備投資を行ったのでフリーCFは▲900、このため、運転資金1,200を借り入れした。
①売上債権の増加は、売上債権の回収遅れや債権の不良化等によって生じます。
これは、回収すべき売掛金・受取手形がまだ回収されていないため、資金繰りを悪化させます。
②棚卸資産の増加は、過剰在庫や在庫の陳腐化によって生じます。
仕入代金が支払い済みの場合、在庫が現金化されていないため、資金繰りを悪化させます。
(2)Y期は、赤字であるが、売上債権、棚卸資産ともに減少し営業CFは+500、フリーCFは+350となった。
借入金を返済しても+50の現預金が増加し資金繰りは良好であった。
(3)Z期は、利益が出ており、売上債権、棚卸資産とも若干増加したが営業CFは300、フリーCFは100となった。
しかし、借入金の返済があるため最終的には▲200現預金が減少した。
【資金繰りの問題点】
X期は、利益は上がっているにもかかわらず、現預金が減少し借入金が増加しています。
これは、売上債権と棚卸資産の増加が主な原因です。増加した原因を詳しく調べると、次のことが判明した。
①売上債権の管理は各営業マン任せで、回収サイトも営業マンが決めていたため回収期間が長期化していた。
②棚卸資産の管理は担当部門ごとに行われており、全社的な在庫管理の仕組みがなかった。
③X期頃より得意先からの要望で、多くの商品を少量ずつ納入していた。
その結果、在庫数量・金額が増加し資金繰りを悪化させていた。
資金繰り改善の対策
【資金繰り改善ポイント】
①売上債権の回収ルールを作成し営業マンに徹底を図る。
②長期化した売上債権の回収サイトを正常に戻す。
③在庫管理を全社一元化し各部間で生じていたムダを改善する。
④仕入商品の発注方法を多品種少量納入に合ったものに改善する。
【遊休資産の現金化】
①有価証券など事業に関係のない資産を現金化し借入金の返済に充てる。
②事業に使用していない不要な資産を精査・現金化し資金繰りを改善する。
資金繰り悪化の原因を正確に把握し、原因ごとに対策を講じることにより会社の資金繰りは改善されていきます。




