経営方針(business policies)
経営方針も一つの決定ルールであるが、それは、通常、反復的におこる同種の問題に対して意思決定に一貫性を与えるために、企業の設定した指導原則(guiding principles)ないしその実行手続を意味している。経営方針は、さらに、基本方針(basic policies)、全般方針(general policies)、部門方針(departmental policies)の三段階に分けられる。基本方針は、企業の経営理念、基本的な経営態度や基本的な経営目標などからなり、取締役会において決定され、それは社是や経営理念として明文化される場合が多い。全般方針は、全般経営についての指導原則であり、全社的な人事方針、組織方針や管理方針が含まれる。社長によって決定され、取締役会で承認を受ける。部門方針は、事業部方針をはじめ、製造方針、営業方針、購買方針、研究開発方針のように、特定の部門活動に対する指導原則であり、部門経営者が決定し、社長の承認を受けるものである。ただ、全般方針と部門方針の区別は流動的であり、マーケティング志向の消費財メーカーや流通業では営業方針、研究開発志向のメーカーでは研究開発方針が、全般方針の性格をもつことが多い。
方針は、反復的条件の下に起こる行動に対する決定ルールであり、環境の変化にかかわりなく恒常的な性質のものである。たとえば、「顧客はつねに正しい」とする基本方針、「人事は情実を排し、公平と能力主義を原則とする」という人事方針、あるいは「購買決定には、複数見積制をとり競争価格主義をとる」という購買方針は、企業の環境の変化にかかわりなく有効な決定ルールである。これに対して、戦略は同じ決定ルールであるが、方針と異なる点は、環境の変化に適応するための決定ルールであり、したがって環境が変化すれば、戦略は変わる点にある。経営方針の明確化は、(1)目的を達成するための手段の選択に一定の制約を与え、一定の方向に各人の努力を集中させる。(2)権限委譲を容易にし、管理者は例外原則によって管理できる。(3)問題処理に一貫性を確保できる。(4)各部門の活動の調整が容易にするなどの長所がある。
参照⇒【経営戦略】




