経営政策(business policy;betriebspolitik)
企業の経営活動に対して経営目的を設定し、その目的を達成するための諸活動に一定の方向付けを与える行動基準を経営政策という。経営目的として、売上高拡大主義をとるか利益拡大主義をとるかは、重要な政策決定であり、価格政策として限界原価主義をとるかフル・コスト主義をとるかは、価格決定に一定の方向付けを与える行動基準を決定する。配給経路政策として、直販主義をとるか複数流通段階主義をとるかは、やはり主要な政策決定をなしている。経営政策が決定されると、その実行のために経営計画や実行手続が作成される。経営政策は経営計画の前提をなし、経営計画によって具体化される。
経営政策は、まず、(1)対外的経営政策と、(2)対内的経営政策とに分けられる。前者は、経営の体外的活動に対して目的と方向付けを与えるものであり、対市場政策のほかに、協力工場や関係会社に対する政策、対株主政策、対公共関係政策などが含まれている。後者は、経営の内部的活動に対して目的と方向付けを与えるものであり、生産政策、管理政策、人事政策、財務政策などからなっている。次に、経営政策は、(1)基本的経営政策、(2)全般的経営政策、(3)部門経営政策に分けられる。基本的経営政策は、企業の基本的な経営目的、経営理念、生産、営業、研究開発や管理に対する基本政策をさしており、取締役会で決定される。全般的経営政策は、各部門にまたがる企業全体の経営政策であり、管理政策や人事政策のほかに、生産政策、営業政策、購買政策、投資政策、研究開発政策なども、企業の全般経営にかかわる全般的経営政策の性格をもっている。それらは、社長ないし取締役で決定される。部門経営政策は、各事業や各職能部門、工場などの部門レベルで決定し、トップの承認をえる経営政策であり、その部門に固有の活動に対して目的と方向付けを与えるものである。
経営政策は、今日では、(1)経営方針と(2)経営戦略に分けられるようになっている。経営方針は、企業のそのときの環境に関係なく、恒常的な性格のものであり、日常反復的に起こってくる問題に対して恒常的な決定基準を設定するものである。「人事に情実を排する」という決定基準は、企業の環境に関係なく、恒常的なものであり、それは人事方針といわれる。これに対して、経営戦略は、企業の環境の変化に対して企業を適応させるために、ダイナミックに新しい経営方向や行動基準を設定していくものであり、環境が変化すれば経営戦略は変化するという性質のものである。技術や市場環境、あるいは国際環境の変化が激しくなるにつれて、環境の変化に対応するための多角化戦略、海外戦略、製品開発戦略、マーケティング戦略などの経営戦略が重要視されてきている。経営政策論は、今日では、経営戦略にとってかわられる傾向にある。
参照 ⇒【経営方針】【経営戦略】




