コスト・プラス方式(cost-plus method)
製品コストに一定の利益マージンを加えて価格を決定する方式をコスト・プラス方式という。製品コストのベースを平均フル・コスト(全部原価)によるか、あるいは限界原価によるかによって、平均フル・コスト主義と限界原価主義とに分けられる。フル・コスト主義では、製品コストとして、直接材料費、直接労務費のほかに、製造間接費、営業費や一般管理費を各製品に賦課した製品の全部原価を用いる。限界原価主義では、直接費に、変動間接費、変動営業費、変動一般管理費を加ええた製品の変動原価をコスト・ベースとする。経済学では、古くから限界原価主義が価格政策として提唱されてきた。不況期で、操業度が低下しているときは、限界原価は平均原価を下回っているから、限界原価主義で価格を決定するならば、需要を刺激し、操業度の上昇によって企業のコストは有利になる。好況によって操業度が最適操業度を超えるときは、限界原価は平均原価を超えるから、限界原価主義価格によって需要を抑制し、最適操業度に戻すことができることが主張される。しかし実際には、いったん価格を下げると、これを上げることには抵抗をともない。また、価格の値下げは競争企業を刺激し、価格戦争を招く不確実性もある。このような不確実性を回避するためには、実際界では、フル・コスト主義の価格政策がとられるのが普通である。
フル・コスト主義の場合も、(1)実際原価、(2)予想原価、(3)正常原価ないし標準原価のいずれかを採用するかの違いがある。(1)の実際原価は、最近時の材料費、賃金や実際操業度における製品原価を用い、(2)の予想原価は、予想される材料費、賃金と予想される操業度における製品原価を用いる。(3)の正常原価ないし標準原価は、正常な操業度(通常75%)と正常な能率における製品原価であり、自動車や電化製品などの価格決定に用いられている。コスト・ベースに加える利益マージンの算定には、(1)売上高利益率主義と、(2)資本利益率主義という二つの方法がある。前者は、製品の資本回転率を考慮しないで、一定の売上高利益率を利益マージンとして価格を決定する方法である。後者は、まず目標資本利益率を決定し、次の式に示すように、目標資本利益率を資本回転率で除した商をもって適正利益率とする方法である。
(利益÷投下資本)÷(売上高÷投下資本)=利益÷売上高
〔目標資本利益率〕 〔資本回転率〕 〔適正利益率〕
売上高利益率主義は、資本回転率を考慮に入れないため、資本回転率の差異があるときには、資本利益率に差が生じてくるから、資本利益率を採用するのが正しいといえる。
参照 ⇒【フル・コスト主義】




