官僚制の逆機能(dysfunction of bureaucracy)の用語解説

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用語

官僚制の逆機能(dysfunction of bureaucracy)

解説

組織論における官僚制論の起源は、ウェーバー(Max Weber)にあり、その古典的官僚制組織論においては、官僚制のもつ合理的な機能の側面に焦点があてられた。これに対して、1940年代から1950年代にかけて、新たな問題意識のもとに三人の著名な社会学者(R.K.Merton,"Social Theory and Social Structure,"1957. A.W.Gouldner,"Patterns of Industrial Bureaucracy,"1954.P.Silznick,"TVA and the Grass Roots,"1949)によって、官僚制の逆機能の側面も注目されるようになった。これらをネオ官僚制組織論という。
官僚制は、組織の合理的なモデルをなしているが、それが意図されない、望ましくない不合理な結果を生じさせるとき、これを官僚制の逆機能という。マートン(R.K.Merton)によれば、官僚制組織では、規則の遵守が強調されるために、規則の遵守それ自体が目的となり、手段的価値にすぎないものが、目標視され、組織の構成員が規則の遵守それ自体に心理的に同一化することがある。これを、目標の移転(displacement of goals)、あるいは規則の内在化(internalization of the rules)という。このため官僚制組織では、形式的手続の徹底的な遵守に拘泥(コウデイ)する形式主義の弊害により、組織の構成員の行動が硬直的になったり、また、自己の地位を防御するための保身的行動に陥ったりする。その結果、顧客との間のトラブルが絶えず、状況の変化に対する適応力も弱まる。また、ある石膏工場のケース・ステディを行ったグールドナー(A.W.Gouldner)も、官僚制的な規則の逆機能の側面を指摘した。この工場では業績を向上させるために、細かな監督(close supervision)を用い、規則を強化したが、意図された業績の改善は起こらず、むしろ逆に、ますますモチベーションも業績も低下し、緊張は増大した。次に、TVAを対象としたセルズニック(P.Silznick)の官僚制モデルでは、一方では専門化をすすめ職務遂行能力を高める合理性をもつ権限委譲が、他方では各部門間のセクショナリズムの対立を起こすことが指摘された。
官僚制組織では、非合理な情実人事を排除する目的から、試験制度がとられる。また、学歴と年功を基準にした人事がとられるために、その逆機能として、各人に対する真の能力評価が行われないという非合理をきたす。また、規則の遵守と責任が強調されるために危険をともなう革新の責任が回避される。最後には、官僚制組織は、自己防御の体質をもっているために、顧客や利用者を無視するという逆機能をもっている。

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