ゴーイング・コンサーン規定(going concern)
企業の存続可能性について、経営者および監査人が情報を開示する規定をいう。ゴーイング・コンサーン規定は、すでにアメリカやイギリスなどでは制度化されており、日本でも2003年3月期から導入された。開示対象となるのは、大幅な営業利益や営業キャッシュフローの赤字、債務超過、重要な市場や得意先の喪失、ブランドイメージの著しい悪化などとなっている。
ゴーイング・コンサーンは、継続企業と訳されることもある。特定者への従属から離れて自主化した状態にある企業のもつ永続的な独自性をさす。現代の発展した大企業は、それを構成している人間(とくに経営者)、形式的所有者(株主など)、その他の利害関係者とは別個の実体を形成し、一定の社会的機能(生産など)を遂行する一種の制度と化している。それは、企業を構成する人間の意思とは別個の、それ自体の意思(目的、理念、準則など)をもち、それを構成する人間の出入りに関係のない、それ自体の生命をもって、制度を維持、発展させる自己充実活動を営んでいる。企業のもつこのような永続的独自性を、ゴーイング・コンサーンといい、特定者への従属から離れて自主化した状態と理解される。
ゴーイング・コンサーンは継続企業をいい、株主、経営者、従業員、顧客などの各成員が企業の目的に貢献する協働行為の継続が予定される場合に成立する継続的企業体のことをいう。企業が継続体として存続するためには、企業の目的に貢献する各成員の協働的行為の継続が必要であり、そのためには、各成員の企業に対するgoodwill(のえん、協働的意思)が必要である。各成員のgoodwillがゴーイング・コンサーンの生命をなしている。得意先のgoodwill(商業上ののれん)があるところに、売上収益の継続があり、金融上のgoodwillがあるところに、株主の出資や銀行の融資が継続され、産業上のgoodwillがあるところに、従業員が企業目的に貢献する協働的意欲が高く、企業は継続体として存続できる。ゴーイング・コンサーンとしての企業の価値は、それを構成する部分である個々の有形固定資産の価値の合計以上のものであり、企業の全体価値と有形資産価値の合計の差がゴーイング・コンサーン価値(going concern value)という無形固定資産価値をなしている。
ゴーイング・コンサーンの概念は、制度経済学者のコモンズ(J.R.Commons)に由来するが、これを会計学、経営学に共通した基礎概念の一つをなしているばかりでなく、それは、近代化管理論者であるバーナード(C.I.Barnard)に受け継がれ、組織均衡論として発展している。
参照 ⇒【のれん】




