海外子会社(overseas subsidiaries)
海外において生産、流通、金融などの事業に従事する独立の法人格をもった海外企業であるが、それに対して本国企業が株式所有を通じて支配権を持つ場合、これを海外子会社という。それには、全額出資子会社と過半数出資子会社とがある。前者は、本国企業が子会社の株式の全額を所有することによって完全な支配権を持つ場合であり後者は過半数の出資によって支配権を持つ場合である。海外関連会社(overseas affiliates)という場合、本国企業の出資比率が過半数を割り、20~30%の少数比率である海外企業が含まれる。
現地国のパートナー(partner)が資本と経営の面で対等に海外企業に参画する形態を合弁会社といい、海外子会社と対比される。多国籍企業は、海外子会社に対しては完全な支配権を持つためには、グローバルな立場から国際的経営戦略を展開し、製品計画やマーケティング戦略や経営方法を標準化し、統合することができるメリットがある。多国籍企業が単に製品技術を相手国に移転するだけでなく、マーケティング能力や経営能力などのノウハウを移転して海外企業の競争的優位性を確保しようとする場合、海外子会社が有利である。これに対して、合弁企業の場合、経営に積極性を欠き、製品計画、マーケティング戦略や経営方法に不統一を生じる欠点がある。アメリカの多国籍企業が海外子会社形態を多くとるのに対して、日本のそれは合弁企業形態が多い。その違いの理由は、
(1)日本の多国籍企業の場合、相手国に発展途上国が多く、政府規制やナショナリズムの要求に合弁形態を余儀なくされる。
(2)製品技術の国際的移転を主として目指しており、マーケティング能力や経営能力の移転を目指す多国籍企業が少ない。
(3)日本の多国籍企業はまだその本格的発展段階に到達していない。などがあげられる。
特に、合弁企業の場合、技術が現地化され、部品や原料の自給体制ができてくると、海外企業のメリットは大きく減殺される危険がある。




