価格戦略(pricing strategy)の用語解説

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用語

価格戦略(pricing strategy)

解説

価格の引き下げによって顧客を競争他社から奪い取る価格競争は、製品の品質とサービスを低下させ、お互いを破滅させる破壊的競争に導く事実は広く認識されている。現代は、価格以外の品質、サービス、製品開発などの要因で互いに競争する非価格競争の時代に入っている。しかし、価格戦略が重要性を喪失したわけではない。新製品を開発した場合、あるいは生産や需要の条件を大きく変化したばあい、それに適応するための価格戦略が必要となる。さらに、価格戦略は製品の限界利益を左右するだけでなく、製品の品質、サービス、広告、販売促進、原材料の購入まで影響をもつ重要性をもっている。生産と需要の条件の違いによって、価格戦略のタイプは、(1)低価格政策、(2)高価格政策、(3)おとり価格政策などに分けられる。
(1)低価格政策は、需要の価格弾力性が大であり、量産規模の達成によって大きく生産コストの削減が得られる場合に有利である。(2)高価格政策は、需要の価格弾力性が小であり、少量多品種生産で、量産によっても生産コストが下がらないような商品の価格決定に採用される。(3)おとり価格政策は、特定の商品に対して製造原価(仕入原価)を割る価格を付けて、「安い」イメージを顧客に与えて顧客の購買動機を刺激し、製品ラインの総売上高の増大をはかるものである。さらに、価格戦略は、需要志向型か費用志向型かによって、次の二つのタイプに分けられる。
(1)需要志向型価格政策;平均原価ではなく限界原価によって価格を決める限界原価主義は、需要志向型価格政策である。不況によって需要が減退し、操業度が下がると限界原価は平均原価を下回る。限界原価で価格を決めることによって追加需要を刺激し、操業度を回復することができる。好況によって需要が最適操業度を超えて増大すると、限界原価は平均原価を上回ってくる。限界原価で価格を決めることによって、需要を抑制し、最適操業度に帰ることができる。限界原価主義は、経済学の仮説に基づいてシュマーレンバッハ(E.Schmalenbach)によって提唱されたことで有名であるが、いったん下げた価格を短期間で再び上げることは困難であり、収益が全部原価を賄わない事態を生じ、現実的な価格政策といえない。しかし、需要の強度の違いによって、顧客層別、地域別、あるいは時間帯別により、限界原価の差異に基づいて価格の差異を設ける差異価格政策は一つの需要志向型価格政策である。
(2)費用志向型価格政策;需要の動向ではなくて、費用を基礎として価格を決定する価格政策であり、(イ)満足利潤志向型価格政策、(ロ)粗利益志向型価格政策の二つがある。
(イ)満足利潤志向型価格政策;達成可能な正常操業度における製品の全部原価を算定して、それに満足利潤として目標利益率を掛けて価格決定を行うものである。それは、費用志向型の価格政策であるが、価格決定の管理が容易であり、競争他社との価格競争を回避することができ、また価格に対する需要の反応や競争他社の反応は不確実であるから、不確実性を避けるために、広く採用されている価格戦略である。
(ロ)粗利益志向型価格政策;流通業において一般に採用される。仕入原価に一定のマークアップ率(粗利益率)を掛けて販売価格を決定するものであり、一つの費用志向型価格政策である。粗利益を最大にするように、商品によってそれぞれ異なった粗利益率を適用することを特徴としている。粗利益は、商品回転率と粗利益率との積であるから、商品回転率が早い商品ほど、粗利益率を低くして顧客を誘引して商品回転率をさらに高める。商品回転率の遅い商品には高い粗利益率を適用する。
参照 ⇒【フル・コスト主義

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