人事管理原則(personnel management principles)
人事管理上の決定を導く基本的な決定基準を人事管理原則という。それは、オートメーション化や情報技術の進展によるホワイト・カラーの増加、1人当たり国民所得の向上、従業員の教育水準の向上などによって変化しているが、今日では労働力を商品とみなして労働搾取に専念する労働商品説の立場や労働者をたんなる生産用具とみなす労働機械説の立場にかわって、従業員を人間として扱う人間主義的アプローチの下に、次のような人事管理原則が確立されてきた。
(1)全人主義の原則;従業員を生産用具の一環として扱うことを排除する。従業員は、人間個人として欲求、期待や目標をもっている。それには、雇用の安定、良好な作業環境や人間関係、福祉厚生施設などの環境に対する欲求とともに、仕事への生きがい、達成感、責任感などの自己実現欲求をもっている。これらの多次元の人間欲求を総合的に満たすことによって、従業員のモチベーションを高めていく人事管理原則が全人主義の原則である。
(2)公正の原則;人事には情実を排し、公正や公平を期することが主要な人事管理原則をなしている。
(3)業績主義の原則;昇進、昇給、賞与の配分などの報酬システムは、年功主義ではなくて業績主義に基づくものとし、各人の努力が業績に結びつくようにすることが業績主義の原則であり、もっとも民主的な人事管理原則をなしている。
(4)情報公開主義の原則;企業に対する従業員の協働的意欲を高めるためには、企業経営に関する情報に対して「寄らしむべし、知らしむべからず」という秘密主義をとるのではなく、「知らしむべし、寄らしむべし」という公開主義をとる。
(5)参加主義の原則;従業員は単なる生産用具や、たんなる命令の実行者ではなく、自らも問題解決の能力をもっているという認識の上に、意思決定過程に従業員を参加させる参加主義の原則が一方的な命令主義にとってかわっている。




