製品市場戦略(product-market strategy)
製品市場戦略とは、企業が従事する製品分野と市場分野との組み合わせを決定し、企業が外部環境の変化に適応して成長目標を達成するように企業の製品市場構造を決定するものである。この製品市場戦略は、新旧の製品分野と新旧の市場分野の組み合わせによって、成長機会の探求と創造を方向づけるものであり、四つの戦略に分類される。この場合、製品分野は、製品の物理的性格や性能の違いによって分けられる。他方、市場分野は、製品の市場使命(mission)の違いによって分けられる。市場使命とは、製品に対する顧客のニーズの一つの集合を意味している。したがって、市場分野とは、顧客グループの分類と必ずしも一致しない。たとえば、食品とテレビと薬品の顧客層は同じであっても、それぞれの製品の市場使命は、まったく異なるのである。このような市場分野と製品分野の組み合わせによって形成される製品市場戦略は、次のように分けられる。
(1)市場浸透戦略(market penetration strategy);現有の製品分野と現有の市場分野との組み合わせによって生ずる成長戦略である。現有の製品によって現有の市場分野に対して広告宣伝費や販売促進費を投下し、あるいは革新的な配給経路を開発して、売上高や市場占拠率の拡大をはかっていく成長戦略である。
(2)市場開発戦略(market development strategy);現有の製品分野と新しい市場分野の組み合わせによって生ずる成長戦略である。現在の製品分野において新しい顧客層や新しい市場地域や海外市場を開発していく成長戦略である。
(3)製品開発戦略(product development strategy);現有の市場分野と新しい製品開発との組み合わせによって生ずる成長戦略である。現有の市場分野に対して新製品の開発、新品種の追加によって、売上高や市場占拠率の拡大をはかっていく成長戦略である。
(4)多角化戦略(diversification strategy);新しい製品分野と新しい市場分野との組み合わせによって生ずる成長戦略である。それは、新しい市場分野に向けた新しい製品分野に多角化する成長戦略である。
以上の四つの製品市場戦略のうち、(1)、(2)、(3)の戦略を拡大戦略という。
ここで注意しなければならないことは、高成長企業は、四つの成長戦略のうちの一つの戦略のみを排他的にとるものではないということである。現実には、二つ以上の成長戦略を併用する混合的な成長戦略を採用する場合が多い。企業の資源や能力の限界を勘案して、各成長戦略に対して、それらを効率的に配分することが必要である。どの成長戦略に重点をおくかは、トップ・マネジメントの重要な戦略決定問題である。




