のれん(goodwill)
のれん(暖簾)とは、企業の超過収益力をもたらす組織価値を意味している。重要なことは、企業の純利益を生む能力の源泉は、物財的な生産資本それ自体にあるのではなくて、これを機能化するための組織価値にあることである。機械、設備、原材料あるいは労働力などの生産要素は、それぞれが孤立していては、その価値はきわめて小さい。労働力は労働組織に織り込まれなくては、無価値であり、建物、機械設備などの生産手段は相互に調整され、秩序づけられて、生産組織に形成されなくては、なんらの製品を生産することもできない。個別の物財的な生産手段は組織価値なしには、単なる「死せる物」にすぎない。死せる生産手段を生ける組織に組織化することによって、収益力が生み出される。企業の超過収益力を生み出す組織価値がのれんである。物財的な生産資本の価値は、取得原価に基づいて有形資産として計上されている。のれんは、次の式によって評価される。
G=I÷r-A
ここで、Gは、のれんをあらわしている。Iは、企業の純利益、rは一定の資本還元率、Aは有形固定資産をあらわしている。企業の純利益Iを資本還元率rで除することによって、企業の収益価値が算定され、これに有形固定資産の価額を差し引いた残りが、のれんである。有形固定資産は、取得原価に基づいてその帳簿価額が決められており、それは生産手段のもつ正常収益力を資産化したものであるから、のれんは、正常収益力を超える企業の超過収益力をなしている。のれんは、企業に超過収益をもたらす源泉の違いによって、(1)商業のれん(commercial goodwill);効果的な広告宣伝費や販売促進費の投入、配給経路の系列化などによって形成される顧客の愛顧、(2)金融のれん(financial goodwill);金融機関や株主の信用が高く、安い利子率、高株価に基づく時価発行の有利性など、(3)産業のれん(industrial goodwill);従業員の教育訓練や参加的リーダーシップによって労働力の質と労働意欲が高いこと、さらに生産技術の優秀性や特許など、に分けられる。
さらに、他の基準によって、のれは、(1)人的のれん(経営者の識見、従業員の誠実性)、(2)組織的のれん(管理組織、能力開発)、(3)立地のれん(良質な労働力や希少な原材料に近い工場立地、有望な営業立地)、(3)法律的のれん(鉱業採掘権、営業特許権、技術特許権、商標権、意匠権によるもの)、(4)独占的のれん(カルテルやトラストの形成、あるいは再販価格維持などの独占的行為によるもの)などに分けられる。




