能力開発
昭和38年に経済審議会人的能力部会が「経済発展における人的能力開発の課題と対策」を発表してから、従来の教育訓練にかえて能力開発の名称が多く用いられるようになった。当時の高度経済成長にともなって一般労働力や経営者人材の不足を生じてきたことが一つの理由となっているが、基本的には日本の企業の伝統的な年功主義管理から能力主義管理への移行にともなって、一方ににおいて昇進や配置において能力主義を適用するとともに、他方で各人に能力開発の十分な機会を与えることが要請されてきたからである。能力開発には経営者教育、社員教育のほかに、技能訓練も含まれるが、特定の職種に必要な技術的技能の短期的な訓練よりは、人間関係技能、管理技能、あるいは経営と環境についての概念知識に対する長期的な能力開発に重点がおかれてくる傾向がる。
能力開発の対象は、大きく、(1)個人的能力の開発と、(2)集団的能力の開発、(3)組織的能力の開発とに分けられる。個人的能力は、従業員あるいは経営層としての個人の能力であり、それは、(1)技術的能力(作業者の技能だけでなく、セールスマンやプログラマーの技法)、(2)人間関係能力(コミュニケーション、モチベーション、リーダーシップの能力)、(3)管理能力(企画、組織、コントロールの能力)、(4)環境能力(環境の変化に適応する能力、環境と交渉する能力)に分けられる。
(1)従業員の能力開発;特定の目的のための技術的能力の短期的な修得や人間関係能力の開発に重点がおかれるのに対して、経営層の能力開発では、管理能力と環境能力とともに、人間関係能力の開発に重点がおかれる。
(2)集団的能力の開発;各個人が特定の小集団における相互作用を通じて「1+1+1=5」という人的シナジー効果を発揮する集団としての能力を開発することをさしている。自主管理作業集団、集団管理、プロジェクト・チームが盛んに活用されるようになってから、集団的能力の開発が重要となっており、その能力開発は、センシティビティ・トレーニング、グループ会議やチーム・ワークづくりをとおして行われる。
(3)組織的能力の開発;各個人が機能する組織風土の全体をかえることによって各個人の能力開発をはかるものであり、組織開発(OD)として実践されている。組織開発は、組織構造、人事制度、報酬制度の改革とともに、上述の個人的能力の開発や集団的能力の開発も含むのであるから、能力開発は組織開発に重点を移行する傾向が見られる。
参照 ⇒【センシティビティ・トレーニング】




