不確実性吸収(absorption of uncertainty)
企業が直面する不確実性に富んだ客観的環境から収集した生の情報は、客観的には不確実な情報である。この生の情報は、企業固有の特定の概念体をつうじて、知覚され、ろ過される。これは組織のフィルター機能という。生の情報は、このろ過の過程で、主観的には、不確実性が減じられ、より確実な情報とみなされ企業内では、「正統化された事実」として、扱われるようになる。このようにして、客観的には不確実な情報が、組織のフィルター機能によって、主観的には確実な情報に変換されることを、不確実性吸収という。たとえば、長期経営計画を作成するさいに、まず企業環境について長期の予測を必要とする。長期の将来の企業環境は、客観的には不確実性が大きいため、企業環境の長期予測の作成、そのための情報収集、処理や伝達は、企画部などのゼネラル・スタッフに集約される。この場合、ゼネラル・スタッフは、客観的には、不確実性な長期的環境についての生の情報を、企業独自の概念体系に基づいてろ過し、主観的には確実な情報にして長期予測を作成する。
この長期予測が、トップ・マネジメントにより決定されると、そこで不確実性の吸収が完全に行われ、それに基づいて各部門は長期計画を作成する。不確実性吸収なしには、各部門は長期計画の作成に着手できないのである。同様に、市場調査部が、客観的には不確実なマーケット環境について販売予測を作成し、それがトップ・マネジメントによって決定され、各部門の生産計画や販売計画の決定の前提として機能するようになれば、不確実性吸収が行われたことになる。不確実性の吸収を行う部門は、組織全体に対して重要な影響力を持つことになる。環境が不確実であり、不確実性吸収の必要性が大であるほど、その部門の影響力は強くなる。




