ブランド戦略(brand strategy)
製品を差別化するために製品につける商標をブランドといい、商標をもつ製品をブランド製品という。独占的競争の段階では、各企業は、製品の独自の外観設計や配給経路の系列化によって、製品を差別化し、ブランド製品の広告、販売促進によって、自社製品市場を拡大していく戦略をブランド戦略という。ブランド製品の価格決定は、広告や販売促進の費用が織り込まれ、それがブランド戦略の資金源として利用される。標準的な製品が量産される鉄鋼、セメント、小麦粉などは、製品の差別化が困難であるために、製品にブランドをつけても、購買決定に価格選好が支配し、広告や販売促進はあまり意味をもたない。したがって、これらの業種では、コスト低減に経営の最重点がおかれる。ブランドは、製品差別化のシンボルであり、旗手をなしている。ブランドは、メーカーが自社の生産した製品に自社のブランドをつけるメーカー・ブランドが一般的であるが、百貨店やスーパーなどの大型流通業者が消費者のストア選好を得てくると、中小のメーカーに発注した低コストの製品に流通業者ブランド(プライベート・ブランド)を付けて販売することによって、高利益率のマージンを獲得できるようになってくる。
メーカーのブランド戦略は、(1)多様化ブランド戦略(multi-brando strategy)と、(2)共通ブランド戦略(common brando strategy)に分けられる。前者は、新製品、新品種や細分市場ごとに、多様なブランドを用いることによって、各ブランド製品の売上げ総量の最大化をはかることを目的としたブランド戦略である。それは、(1)新製品によって市場占拠率の拡大をはかる場合、(2)新しい消費者需要を開拓するために新品種を追加する場合、(3)市場を細分化して、各細分市場に向けた製品の多様化によって売上げ総量の増大をはかる場合、(4)新しい配給経路によって新しい顧客層を獲得する場合などに用いられる。後者は、関連性をもつ各製品や各品種に対し共通のブランドを用いるブランド戦略をさしている。各製品の間の関連性としては、(1)用途関連(テレビとビデオ・デッキ、各種の男性化粧品)、(2)原料関連(牛乳と粉ミルク)、(3)技術関連(工場用空気清浄機と家庭用空気清浄機)などがある。共通ブランド戦略は、消費者の評判の高いブランドを他の関連製品や新品種に拡大することであり、それによって、(1)新製品や新品種に対する消費者の受容性を高める。(2)広告費や販売促進のコストを削減できる。(3)消費者のブランド選好を強化することなどの利益がある。なお、流通業者のプライベート・ブレンド政策は、非関連の各種の商品に対して共通ブランドを用いることを特色としている。




