費用・便益分析(cost-benefit analysis)
何らかの目的を達成するための代替案について、それに要する費用と便益とを評価・対比して、代替案の採否あるいは順位を明らかにする分析。とくに、公共的投資決定のために用いられる分析方法である。発生は、20世紀初頭のアメリカにおいて、河川と港湾の投資計画について商業的ベースにおける費用と便益を考慮してその望ましさを分析することが行われたことに端を発する。その後洪水制御や水資源開発関係のプロジェクトの評価において費用・便益分析は長い歴史をもって発展してきたが、1936年の洪水防御法において誰に帰属しようとすべての便益を推定費用と対比するという原則が定められ、公共的投資決定の社会的性格が明らかにされた。
1950年代には、核ミサイルなど大規模兵器システムの選択のための効果分析がやはりアメリカイで盛んに行われたが、それは費用有効度分析(cost-effectiveness analysis)とよばれ、効果が金銭的尺度以外のもので測定される場合に使われる名称となっている。それとの対比では、費用・便益分析という言葉は効果を金銭的尺度でとらえる場合に用い、両者をあわせて費用・便益分析とよぶこともあるが、このような区別は必ずしも厳密にはなされていない。今日では、水資源や兵器システム以外に、運輸、教育、その他いろいろな公共投資決定の分析に、また私企業においても直接的な利益よりも広義の効果を考える投資の場合に広く用いられるようになっている。




