分権的利益管理(decentralized profit control)
部門を製品別、地域別、得意先別あるいは工程別に分割し、各部門を利益責任単位、すなわちプロフィット・センターとして組織し、各プロフィット・センターに大幅な権限委譲を行い、各センターが利益増大化を目指して意思決定を行うことによって、会社全体の利益の最大化をはかろうとする管理方式である。分権的利益管理は、事業部制の利益管理方式に具体化されている。その管理方式は、本社の命令や指示などによる集権的統制の手段によらないで、各事業部の利益最大化の努力が自然予定的に企業全体の利益の最大化をもたらすという前提の上に立っている。この前提を現実的なものにするために、各事業部の間の社内取引に振替価格が設定されるとともに、忌避宣言権や外部市場への販売権も認められる。このような手段は、企業のなかに市場経済メカニズムを導入するものであり、各事業部の利益の最大化が企業全体の利益の最大化をもたらすことを確保するためである。しかし、国民経済の場合と同じく、事業部制の場合にも外部不経済を生じ、各事業部の利益最大化が会社全体の利益を犠牲にして行われる場合を生じる。
この外部不経済を防ぐために、各事業部への研究開発費、広告宣伝費の配分、設備投資計画や人材養成計画の決定は、本社のトップ・マネジメントの決定権限として保留される。また、長期経営計画の作成によって、各事業部の経営計画を長期的に調整し、さらに、各事業部に対する本社の予算統制が行われるのが、通常である。さらに、各事業部の社会的責任の遂行を監視するために、社会監査委員会が設けられる。分権的利益管理の基準として、(1)利益額を中心とするものと、(2)使用総資本利益率を中心とするものとがある。後者の場合、各事業部への使用総資本を確定する必要があり、そのための固定資産の評価が問題となる。
参照 ⇒【プロフィット・センター】




