不確実性回避(uncertainty avoidance)
企業は不確実性の環境のなかで行動しなくてはならない。ORなどの規範的意思決定論では、従来まで、不確実性に対して、(1)危険を最小にするミニマックスの原理などの選択ルールを設定することによって、また、(2)不確実性環境について、主観的確率分布を推定することによって、対処すると考えられてきた。このようなアプローチは、環境の不確実性を所与としている。これに対して、企業行動理論では、現実の企業は、不確実性を所与とする意思決定方法をとるというよりも、むしろ次に述べるような方法で、不確実性を回避する行動によって環境の不確実性に対処しているとみなす。(1)一つは、短期データのフィードバックに基づく短期的適応の方法である。当面する環境が不確実な場合、長期予測をやらないで、問題が生じたときにそのつど問題解決のための意思決定を行って適応する方法がこれである。例えば、生産量の決定のような業務的決定のさいに、長期の売上予想に基づく長期生産計画を作成するよりは、実際の生産量決定は、毎月の、また週ごとの在庫動向や売上実績に関するデータのフィードバック情報に基づいて意思決定している。業務的決定の場合と異なり、戦略的決定の場合には、不確実性環境の長期の予想を行うことを企業は回避することができない。ただ、長期的な戦略決定の場合にも、これを実施に移す段階では、短期的情報のフィードバックに基づいて決定の細部の修正が行なわれる。(2)もう一つは、企業の外部環境や内部環境をコントロールしようとする方法がある。同業他社との申し合わせや提携、下請企業や協力工場の系列化などに基づいて、企業の外部環境の不確実性をコントロールすることを行う。また、企業内部においては、予算や標準業務手続の設定によって、内部環境の不確実性をコントロールし、各部門の行動の不確実性を回避することができる。




