目標による管理(management by objective)
目標による管理とは、企業その他組織全体の構成員が各自担当の職務について具体的な達成目標(goal)を設定し、その実現に努力し、その成果を自己評価することを通して、組織体の目的達成に役立てるとともに、働く人びとを動機づけるシステムである。目標による管理は、ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)が『現代の経営』の中で強調したことに始まるといわれている。彼によると、企業が存続し、発展するためには、事業の生存と繁栄に直接かつ重大な影響を与えるすべての領域ごとに目的を設定し、それらを達成しなければならないのである。元来、企業は目的の共同体であるから、トップ・マネジメントから末端の職位まで、目的を分担し、その実現に協力しなければならない。この目的実現のためには、何時までに、どの程度達成するか、その目標を立てる必要がある。これが目標による管理である。目標が達成されることによって、目的が具体化され、成果を生むのである。
この目標の設定は、企業の構成員が企業の目的と目的達成のための方針の範囲内で、各自が参加し、自律的に行うところに特色がある。それゆえ、目標管理を実施することは、経営資源の中でもっとも重要な人的資源を動機づけ、働く人びとを生産的にするのに役立つ。また、目標管理は各人が自己の立てた目標に向かって積極的に努力する仕組みであるから、自己啓発、能力開発に有効であるし、目標を達成したか否かの結果が明らかになる仕組みであるから、業績の自己評価、したがって、人事考課に活用することができる。以上のように、目標管理は企業の目的を具体化し、成果をあげることによって企業の成長発展に寄与すると同時に、企業の中で働く人びとの働く意欲を増進し、それによって、彼らの能力を開発するのに役立つのである。目標による管理は、ドラッカーが提唱して以来、アメリカでは1950年代の後半から60年代にかけて急速に普及した。わが国では、1962年(昭和37年)以降、先駆的な企業で採用されはじめ、1965年(昭和40年)頃から一種のブームを呼んだ。その後、1970年(昭和45年)以降一種の頭打ち状況となったが、経営の近代化に真剣に取り組んでいる企業では、依然として関心が高く、静かなブームが続いている。わが国ばかりでなく、西欧、発展途上国においても、かなり広く採用されている。




