マーケティング組織(marketing organization)
マーケティングは、顧客のニーズを満たすために必要な諸活動を統合し、企業の市場地位の向上をはかる諸活動であり、マーケティング職能として、販売のライン活動のほかに、サービス・スタッフとしての広告・販売促進、顧客サービス、管理スタッフとしての営業企画、市場調査などがある。マーケティング組織は、これらのマーケティング職能を特殊化するとともに統合するだけでなく、他の各部門活動との調整においてマーケティングの概念が浸透するような組織設計を考慮しなければならない。マーケティング部門と他の部門との間には、要求や利害のコンフリクトを生じやすい。顧客ニーズを満たすための要求は、生産部門に多品種少量生産を押し付けたり、緊急注文による日程計画の混乱を起こしたり、資材部門に対して特急部品の注文や在庫増によるコスト高を生じさせ、技術部門に対しては製品計画費用の増大を生じさせたりする。そのために他の部門からの抵抗や反発を生ずる。このような部門間のコンフリクトを最小にして、マーケティングの概念が他の各部門に浸透するようにするためには、職能別組織のほかに、製品別、地域別、得意先別、配給経路別などの幾つかの次元からマーケティング組織を設計することが必要である。
(1)職能別組織;
各地方の営業所を販売ラインとして、広告、販売促進、サービス、営業企画などのスタッフ部門をもつ職能別組織が多いが、これをマーケティングの概念を他の部門に浸透させるについてコンフリクトを生じやすい。顧客のニーズを満たすためには、生産部門におけるコスト・ダウン、資材や部品の確保、研究開発部門による製品改良など、他の部門との密接な調整を必要とするからである。
(2)製品別組織;
製品別事業部制をとり、各事業部に営業部をおき、担当製品グループの販売活動とともに営業企画や販売促進を行う場合、あるいは各製品にプロダクト・マネジャーを設けて、担当製品の広告・販売促進、製品開発について各スタッフ活動を調整する場合がある。後者の方が、マーケティングが各部門活動に浸透しやすい。
(3)地域別組織;
製品や顧客は同似であるが、地域によって、顧客ニーズ、購買動機や購買慣習に異質性があり、各地域別に顧客のニーズをとらえ、それを満たすための独自の製品計画や販売戦略をとる必要がある場合、地域別にマーケティング組織を分割する地域別組織がある。各営業所を地域別に統合する地域支配人(あるいは地域別事業部)を設け、その下に営業企画や販売促進のスタッフをおくものである。
(4)顧客別組織;
製品は同じであるが、顧客グループによって、顧客のニーズ、購買習慣、サービスのニーズが異なり、各顧客グループに対して独自の製品計画や販売戦略をとる必要のある場合、顧客グループ別に分けたマーケティング組織がとられる。この場合、顧客が分散しているためにセールスマンが全国を東奔西走しなくてはならない非効率、不利益を避ける必要がある。
(5)配給経路別組織;
百貨店、スーパー向け販売、専門店向け販売、自動販売機向け販売のように、配給経路別に分割したマーケティング組織をいう。
上記の(1)に対して(2)~(5)の組織は、各部門活動の調整においてマーケティングがより有効に浸透することを目的としたものである。




