マトリックス組織(matrix organization)
新製品開発などの革新が成功するためには、一つは、プロジェクトの管理責任と、各職能部門の職能活動との間に密接な協力とバランスをとることが必要である。もう一つは、各職能部門間のバランスをとることが必要である。プロジェクト管理と各職能部門の職能的責任との調和をはかり、また、各部門の間のバランスを確保することを目的として、マトリックス組織がとられる。とくに、一つのプロジェクトが短期間に完了するのではなくて、常に複数のプロジェクトが並行して進行する研究開発部門では、このマトリックス組織が採用されることが多い。この組織の特徴は、通常の職能部門に沿ってタテに流れる権限とプロジェクトの遂行に関してヨコに流れる権限という二つの方向に流れる権限によって格子状の権限関係をとることである。プロジェクト・マネジャーは、プロジェクトに関するあらゆる活動を統合し、一定の予算と進行計画の下に、プロジェクトを完了する管理責任をもっている。他方、職能部門の管理者は、その担当の専門分野についてプロジェクト・マネジャーに対して助言と協力を与える責任をもっている。したがって、プロジェクト・グループのメンバーは、プロジェクトの遂行については、プロジェクト・マネジャーに責任を負っており、専門的、職能的問題については、各職能部門の管理者に負うという二重の責任を持つことになる。たとえば、研究開発部の組織がA、B、C、D・・・など複数の専門別に部門化されている。今般新製品開発について、A、B、Cの三つの専門組織がかかわることになり、新製品ごとに複数のプロジェク組織(チーム)が編成さる。そして、各プロジェクト・マネジャーが任命される。彼らはプロジェクトの遂行に対して管理責任をもつとともに、専門的な問題について専門部門の管理者の承認を受け、それとの調整をはかり、各専門部門の管理者は各プロジェクトにおける専門的な基準の維持とプロジェクトのスタッフの人事、その養成に責任を有している。製品開発計画が試作、テスト・マーケティングの段階に進むと、プロジェクト・グループのメンバーには生産部や営業部、管理部のメンバーが入り、研究員の一部と交替し、プロジェクト・マネジャーも営業部門の人に交替していくが、権限と責任の二重の関係を維持していくところに、マトリックス組織の特徴がある。




