目標利益率
利益計画においても、また、価格決定その他の経営上の意思決定において、一定の目標利益率が重要な決定基準をなしている。目標利益率は、ふつう資本に対する目標利益率をさしており、それには次のような方法がある。
(1)資本報酬率基準;会社の必要とする資本を外部から調達するための誘因として必要な資本報酬率を算定し、それを目標利益率とするものである。わが国でも近年では、時価発行が行われるようになり、株価収益率(PE比率)を資本報酬率とみなすことは、非現実的でなくなっている。PE比率は1株当たり利益に対する株価の倍数である。株価が500円であり1株当たり利益が50円であるとすれば、PE比率は10倍であり、株主は500円の投資に対して50円の資本報酬で満足していることになり、自己資本に対する資本報酬率は10%となる。株価収益率(PE比率)が5倍であれば、資本報酬率は20%となる。資本報酬率基準は、所有主体説の立場から株価を維持することを目的とした目標利益率である。しかし、実際には、PE比率は、株式の需給関係、会社の成長性の見込み、資本構造や配当政策によって影響を受け、わが国の現状では成長性のある会社の場合、資本報酬率は異常に低く算出されるという問題がある。
(2)配当性向基準;一定の配当率を予定して、配当コスト=配当率÷(1-実効税率)を計算し、それを一定の配当性向によって除することによって、資本金に対する目標利益率を算定し、それを自己資本利益率や使用資本利益率の目標に転換する方法である。配当率を15%とし、利益課税率を50%とすれば、配当コストは30%になり、配当性向を40%とすれば、資本金利益率の目標は75%となる。利益(1-配当性向)は、内部留保をなすのであるから、この方法は、企業主体説の立場から安定配当率を維持するとともに、会社の競力の維持に必要な内部留保を目標とした目標利益率であり、わが国ではとくに多く利用されている。
(3)欲求水準基準;満足化原則の下に、利益に対する会社の欲求水準に基づいて目標利益率を設定するものである。欲求水準の決定要因として、会社の過去の実績値があり、それに準拠集団である同業他社の目標利益を参考にし、さらにいくばくかの努力目標を加えるのが普通である。実際には、会社によって目標利益率に大きな差があるのは、欲求水準基準が多く採用されていることを示している。
参照 ⇒【配当コスト】【配当性向】【配当政策】




