リーダーシップ(leadership)
人間の集団的努力を喚起して集団の目的を成果的に達成していくためにリーダーが集団成員に対して行使する対人的な影響力をリーダーシップという。指導力ともいう。リーダーシップは、人類の歴史とともに古いが、マックス・ウェーバー(Max Weber)の理念型概念によれば、リーダーシップは、(1)カリスマ的リーダーシップ、(2)家長的リーダーシップ、(3)官僚的リーダーシップに分けることができる。
(1)カリスマ的リーダーシップ;リーダーの天与の資源や人物的魅力に対する成員の情緒的帰依によって成員の服従を導き出すリーダーシップである。(2)家長的リーダーシップ;リーダーはあたかも家長であり、成員はあたかも家族の一員として家長の権威に服従する封建的リーダーシップをさしている。(3)官僚的リーダーシップ;リーダーは正当な権限に基づいて法律や規則にしたがって権限を行使するために、成員の服従を導き出すリーダーシップであり、それは近代国家や近代株式会社のおけるリーダーシップの一般的な基礎をなしている。
ホーソン実験を契機とする初期の人間関係論によって、生産性は従業員のモラールに依存し、モラールは職場の人間関係に依存するが、職場の人間関係を形成する一つの要素として、監督者の監督のあり方が注目された。それは、リーダーシップ研究の端緒を開いたものである。1938年には、レビン(K.Lewin)によって、児童を対象にして、(1)専制的リーダーシップ、(2)民主的リーダーシップ、(3)自由放任的リーダーシップという三つのリーダーシップ・パターンの実験が行われ、民主的リーダーシップが有効であることが実証された。次いで、リッカート(R.Likert)を指導者とする「ミシガン研究(1947年)では、監督者のリーダーシップ・スタイルを、(1)仕事中心型(job-centered)、(2)従業員志向型(employee centered)とに分け、前者より後者のタイプのリーダーシップをとる監督者の業績が高いことを実証した。後に、リーダーシップ、モラールと業績の間の関係について、次のような定式化を行った。
リーダーシップ → モラール → 業績
(原因変数) (仲介変数) (結果変数)
業績(売上高、利益、コスト、品質など)は、結果変数であり、リーダーシップは原因変数であり、モラールは両者の仲介変数をなしており、リーダーシップはモラールに影響し、モラールの向上が良好な業績をもたらすという仮説を確立した。そして、リーダーシップを(1)権威主義的リーダーシップと、(2)参加的リーダーシップに分け、前者に比べ後者の方がモラールを向上させ、良好な業績を結果するという仮説を実証した功績は大きい。
リトビン=ストリンガー(G.H.Litwin and R.A.Stringer)は、心理学上の立場から、従業員のモラールに影響するのは、組織風土(organizational climate)であり、リーダーシップは組織風土を形成する決定的要因であるという仮説を立て、次の定式化を行った。
リーダーシップ → 組織風土 → モレール → 業績
組織風土は、(1)組織構造(職務、手続、規則が明細に規定されている程度)、(2)責任(決定に対する自由裁量と責任感)、(3)危険負担(職務や目標に対する挑戦の意識)、(4)報酬制度(昇給や昇進、罰則)、(5)支持的人間関係(良い仲間意識や相互扶助)、(6)コンフリクト(意見の対立の解決の仕方)などの要素からなっている。モラールに影響するのは、この組織風土のいかんであるが、リーダーシップは組織風土に影響を与える主体的な要因と考えられる。最近では、リーダーシップ論に対してフィドラなどによる条件適合理論(contingency theory)の適用がみられる。
参照 ⇒【フィドラーのコンティンジェンシー理論】【リーダーシップ・スタイル】




