りん議制度(referral and clearance system)の用語解説

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用語

りん議制度(referral and clearance system)

解説

通常、社長の承認を必要とする決定事項について、組織の下位段階で起案が行われ、りん議者(工場長、店長)をへて、本社の所管部門の審査を受けたあとに、関係部門に稟議書を回付して意見を徴収した上で、社長の決裁をへる意思決定手続をりん議制度という。りん議事項としては、(1)組織の改廃、(2)重要な方針事項、(3)課長、部長などの重要人事、(4)一定金額以上の資本支出などがある。戦前の日本の企業では、計画システム、予算や組織が未整備であったために、りん議制度はトップの重要な統制手段をなしていた。それは、(1)重要な決定事項が組織の下位段階で起案され、ボトム・アップ経営を可能にし、(2)社長の決裁にいたるまでの過程で所管部門や関係部門との間で周到な根回しが行われるなどの点から、日本的経営の特色の一つともされる。しかし、それは日本の伝統的企業に多くみられるトップの戦略や方針の欠如、集権主義や官僚的な形式手続主義を標榜するものであることは、注意を要する。
りん議制度は、次のような特色をもった意思決定手続である。(1)社長の個人的承認の手続である。たとえ、年間の資本支出予算が決定されても、それは直ちに資本支出の実行を認可するものではない。個々の資本支出は、その都度資金事情を考慮し、その妥当性を再度検討するために、一定金額以上の資本支出について社長の個人的承認を得る手続としてりん議が行われる。(2)各部門長のコンセンサス(合意)を得る手続であること。課長や部長などの幹部人事や組織改正などをりん議することによって、各部門長に異論があればそれを提出する機会を与え、各部門長のコンセンサスを得る手段とすることができる。(3)本社の各職能部門の職能的権限を強化する職能を果たすこと。工場長や事業部長の直接の上司は社長であるにもかかわらず、りん議制度は社長への直接の提案のルートのかわりに、本社の所管部門である職能部門で内容審査を受け、さらに他の関係部門に回議されて上で、社長に上申されるコミュニケーション経路が公式的に厳格に決められる。設備計画であれば、その所管部門は技術部、財務部であり、その審査によって修正を受けたり、却下されたりする結果、りん議制は本社の職能部門の職能的権限を強化する機能を果たしている。
りん議制度のデメリットとして、(1)りん議制度は、きわめて官僚的な手続であり、意思決定を遅らせ、また起案者の個人的責任を曖昧にする弊害がある。(2)本社の職能部門の職能的権限を余りに強化し、集権管理の弊害に陥り、下位組織における創造性と変革の意欲を低下させる。(3)りん議が多いことは、トップの戦略や方針の欠如と分権管理の不徹底を意味している。などがあげられる。
かくて、日本の企業は、(1)常務会の設置によって、りん議事項を常務会で決裁して意思決定を早める。(2)戦略的経営計画の作成を通じてトップの戦略や方針を明確にする。(3)事業部制による分権化を実行する。ことなどを通じてりん議制廃止の方向をとっている。

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